もともとは、神への礼拝の儀式の際に、男女の踊りとして奉納されたものだったフラ。ハワイの神話では、神々がフラに興じる様子が描かれているほどで、フラには古い起源があるそう。
「フラの起源はいくつもの説があり、オアフ島、ハワイ島、モロカイ島など、それぞれの島で諸説語り継がれているの。私もフラの先生(クムフラ)から、ホポエ(Hopoe)というハワイ島に住む女性とヒイアカ(Hi’iaka)という女神だという言い伝えを聞いているわ。ヒイアカは、歌と踊りが上手なホポエと出会い、仲良くなり、ヒイアカがホポエから踊りを習い、これがフラになったと言われているのよ」
人間が教えた踊りが女神に伝わりフラに。そして神を崇めるために人々はフラを演じる。神と人間を今も昔もつなげるフラのバックグラウンドに、感動とも、驚きとも違う、気持ちの深いところが温かくなったのでした。
アンティのハラウ(フラ教室)『ハラウ・オ・カワイアハオ』の場所は、カワイアハオ教会。ダウンタウンに位置し、イオラニ宮殿やカメハメハ大王像から徒歩1、2分の場所にある壮麗な大聖堂です。ハワイで挙式する日本人カップルに人気の教会なのですが、1842年に建立されたハワイ最古のキリスト教会でもあります。
当時のハワイ王国の君主カメハメハ3世の命によって建造され、歴代君主の戴冠式や結婚式、葬式などが行われた、大変由緒ある教会なのです。
「私はここでフラを教えられることが本当に幸せでとても光栄なことだと思っているわ。カワイアハオ教会で踊る時は心は静まりながらも、パワーがみなぎってくる気がするの」
と笑顔で話すアンティ。フラについてもっとたくさん話を聞いてみたい。そう純粋に思ったのでした。
取材日はちょうど月に1度の発表会の日。日曜礼拝の後、生徒たちと一緒にフラを披露されていました。
アディス ・アン・クウレイオナオナ・ゴメス
PHOTO:Kaz Tanabe, George Russell