↑ChiyoTiaさんのお母様とChiyoTiaさん
ChiyoTiaさんに、とても大切なことを教えてくれたおばあさん。『あなた』を聴いていると、気高く生きたおばあさんとそれを見つめるChiyoTiaさんの姿が、自然と脳裏に浮かびます。
「『ただ一度きりの人生 あなた一人 カバン一つ 遠い昔の話だからと 思い出話 苦手なそぶり~♪』というところは、おばあちゃまが日本を旅だったときの情景なんです。おばあちゃまはいろんなことに夢を膨らませて、100ドル札を握ってハワイに渡った人。相当苦労したとも思うけど、絶対に弱音は吐かなかったんです」
ChiyoTiaさんのおばあさんは、麻布でクラッチバッグを作ったり、着物の素材でムームーを仕立てたりと、自らの手で事業を立ち上げていったそう。そこには反発もあり、経営の邪魔をされたことも。しかし彼女は、「私のやっていることが真似できるならやってみなさい」と、どんな困難にも屈しなかったといいます。
「当時のハワイには人毛でできた品質の悪いウイッグしかなかったんです。そこでおばあちゃまは、日本からプラスティックの上質なウイッグを仕入れて、ハワイで初めてのウイッグショップを開いた。しかも、日本から美容師さんを呼んで、洋服にあわせたヘアアレンジをしてあげるサロンも開いたの。もちろん、そこに至るまでは本当に大変だったし、悔しい涙も流してる。でも、私がなにを訊いても、『いいのよ、そんな昔の話は』って」
そんなChiyoTiaさんのおばあさんは、残念ながら4年前に亡くなってしまったそう。
「おばあちゃまは最後まで厳しくて、私がこうして歌っていることもなかなか認めてくれなかったんです。『ショービジネスの世界で生きるなんて』って。でも、以前、FM横浜のラジオで生歌を披露したときに、たまたま日本に遊びに来てたおばあちゃまが放送を聴いてくれたんです。そこで歌ったのが、私がハワイで過ごしたマノアっていう場所を舞台にした『Mikazuki』。そしたら、おばあちゃまが『うん、いいね。あなたのやってること、いいんじゃないかしら』って言ってくれたんです。子どもの頃から褒めてくれたことなんて一度もなかったのに。
だけど、この『あなた』を聴かせることはできなかったんです。それが私のなかでくすぶっている、唯一の心残り。多分、これは一生思い続けていくんだろうな……」
おばあさんへの想いを綴った『あなた』だけではなく、ChiyoTiaさんが制作する楽曲は、すべて実体験をもとにしているそう。「自分が共感できないこととか、体験したことがないことは書けないんです」とChiyoTiaさん。それゆえに、どの曲も聴いていると“情景”が目に浮かぶ仕上がりになっています。
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